総院長 竹江渉連載インタビュー vol.2

「脂肪吸引」は技術で決まる

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短時間で技術を習得させるために全てを理論化して伝えます

脂肪吸引の技術を後輩医師に伝える際に、理屈で伝えることはできても、感覚的な部分を伝えるのって難しいと思うのですが、教える際にはどの点にポイントを絞っていますか?

竹江感覚ではなく、とことん理論で伝えるのがポイントですね。
脂肪吸引っていうのは、外から見ているとただカニューレ(脂肪を吸引する管)を動かしているようにしか見えないと思うのですが、実際に自分が吸ってて「その層は違うね」とか指摘されても、わかりにくいと思うんですよ。感覚と理論を一致させて今どういう層をどのように取っているのか、どういう順番でこの層を取っていくのかっていうのをちゃんと理論化して教えていくというのが、脂肪吸引の伝承の仕方として良いのかなと思っています。

例えば普通の手術で剥離をしていくと考えたときに、剥離が上手い先生と下手な先生がいるとして、別に上手い先生が器用だっていうわけではないんですよ。

例えば、剥離をしやすくするためにはこっちを拙子で引っ張りながらやると、ここの層が剥離しやすいとか、そういう理論を知っていればできるわけだから。感覚でやっているうちに何となく自分で気づいたりすることはあると思うんですけど、そういう風にやらせると習得は5年10年かかってしまうんですよ。
一方で、当院がなぜ短期間で技術を習得できるのかというと、全てを理論化して先生に伝えるからなんですよね。あとは、聞いたときに素直に吸収して実践できるかどうかというのも成長度合いの差になってくるのかなと。実際難しいんですよ。

僕もゴルフのレッスンを受けていますけど、先生の言うことをちゃんと素直に聞いて実践できればいんですけど、ゴルフの先生が一番嫌がる生徒っていうのはどんな生徒かっていうと、自分がしっかり教えた後に自主練習に行って、自分で好きなように打って、元に戻ってしまうような人。教えたことを忠実にできるっていうのは一つの才能だと思うんですよ。一つ一つ丁寧に教えたものをやれるかどうかっていうのは大切なことだというんですよね。僕もそういったことに気づいたときには言うようにしているんですけどね。「そういうところが成長の足かせになっているかもしれないよ」って。

中途半端にやってきた先生が上手くなりにくいっていう原因には、そういう要因があるのだと思います。
なかなか自分のやり方を変えられない。でも一からリセットできる先生を当院は雇っているから、覚えやすいし。そこには悪気があるわけではなくて、知らないだけだったりするんですよね。ですので、一旦自分のやり方っていうのを外してもらって、指の動かし方から拙子のつまみ方から一つ一つ真似してコピーしてしまうのが一番早いんですよ。コピーしてしまえば、あとはそこにオリジナルが加わってくることで強みが生まれると。まずはコピーできるかどうかですね。

こういった教育を各院の院長先生に徹底して行ってきました。
その結果として、各院の院長先生の脂肪吸引のスキルも、文句のつけようのないレベルまで到達している。
高いレベルで「技術統一」が実践できています。

「今までこの角度で脂肪を取ってきたけど、なんでこの角度だったんだろう?」とか考えてみると、「こういう理由があったからこうしていたんだ!」と分かって。そういうのがわかるようになると、自分もまた一つ上手くなるんですよね。僕の場合はどっちかっていうと自分で経験を積むっていうよりかは、上手く教えられるように努力をすることで、気づいたら上手くなっているっていうところがあるので。

LFDと皮下脂肪の違いなどは手の感覚でわかるものですか?

竹江感覚でわかるものだと思うんですけど、でも感覚と理論を一致させたほうが良いと思うんですよ。「今この層を取っているんだよ」、「その感覚ってこうなんだよ」っていうように。視覚や聴覚、触覚も関係しているかもしれないですね。そういう感覚と理論とを一致させているわけなんですよ。
職人芸なんですよと言いながらも、理論として確立されたものを実践していくっていうものだと思います。

※LFD…筋肉に近い深い層にある脂肪。浅い層にある脂肪は毛細血管があり血流が豊富であるため、ダイエットでも燃焼しやすいが、LFDは血管や神経に乏しいため、ダイエットでは中々減少しない。

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