わきが・多汗症の総論
わきの下にはアポクリン線、エクリン線などがあり、ワキガの原因となるこれらの汗腺を除去することが治療では重要です。
- ①アポクリン腺
ワキガの原因となる汗腺。 この汗腺からの分泌液が細菌と反応し特殊な匂いを発生します。アポクリン腺はフェロモンとも言われますが、量が多いとワキガの原因になります。 - ②エクリン腺
全身に点在し、汗を分泌する汗腺。脇の下などに多く、量が多いと多汗症になります。治療の際は①と同時に除去する場合が多いです。 - ③皮脂腺
体の脂質を分泌する腺。皮脂は思春期以降から20代にかけ増加し、気温の影響などでも増減します。
多汗症とは
多汗症は主に2種類に分けられます。全身の汗が増える全身性多汗症と、体の一部に汗が増える局所性多汗症です。さらに特定の病気が原因で過剰に汗が出る場合と、病気が原因ではないがたくさん汗が出る原発性多汗症に分けられます。
一般的に悩まれる方が多いのは局所性の原発性多汗症です。日本人の手のひらの多汗症患者数は61万6,000人(※)、脇の多汗症患者数は223万9,000人(※)と言われています。つまり、日本人の約200人に1人が手のひらの多汗症、約55人に1人が脇の多汗症を患っている自覚があるということです。
多汗症とわきがの違い
脇の多汗症と「わきが」は一括にされがちですが、実は性質の異なるものです。簡単に言うと、多汗症は異常な量の汗が出る人の事、ワキガは独特の臭いが出る状態、を言います。
汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があります。エクリン腺は全身に分布している汗腺です。エクリン腺から必要以上に汗が分泌されてしまっている状態が、多汗症です。緊張や不安など精神的な理由や、食生活・病気・ホルモンバランスなどが原因として挙げられます。エクリン腺の汗は、99%以上が水で出来ているためサラサラで無臭ですが、汗でワキが湿った状態が長く続くと湿気を好む細菌の繁殖を助ける事になり、いわゆる「汗臭い」という状態を生み出します。
アポクリン腺は脇やおへその周りなど局所的に存在していますが、出る汗は粘り気があり、脂肪や鉄分、タンパク質やアンモニアなどを含んでいることから、菌が繁殖しやすくニオイが発生します。汗の量自体はそこまで多くありません。このアポクリン腺から放たれる匂いの程度が強い状態が所謂わきがです。
わきが・多汗症の施術法
剪除(皮弁)法
5cm程脇のしわに沿って切開し、汗腺を切除する施術です。原因となる汗腺をほぼ取り除くので、匂いも汗の量も普通の人以下にすることが可能です。術後の傷跡の幅は希望される汗腺の除去量に応じて調整できます。
吸引法
脇に5mm程度の穴を開け、そこから汗腺を吸引していく方法です。匂いに多少の効果はありますが、汗の量が気になる方には効果がありません。また吸引できる汗腺の数は限られておりますので、大きな効果が期待できる治療ではございません。この方法の応用で超音波やレーザーを使う方法を見かけますが、通常の吸引法と大差はありません。吸引法においても汗腺をたくさん除去しようとすればどんな方法でも真皮へのダメージが加わります。
多汗症治療のボトックス注射
シワや小顔治療などで使用するボトックスには汗腺を麻痺させる作用もあります。局所的に汗が出やすい脇や手のひら・足の裏にボトックスを注射することでメスを使わずに制汗することが可能です。