銀座院院長 竹村 和紀 インタビュー

より安全に、失敗や後悔せずに脂肪吸引を行なうために

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論文やデータ自体の信頼度にも目を向ける必要がある

これだけ具体的な数字などのデータが出ていると、やはりベイザー脂肪吸引の方が優れているといえるのでしょうか?

竹村実際そうとは言い切れません。この論文にはいくつか問題点が指摘されているからです12),13)

どのような点が指摘されているのでしょうか?

竹村まず1つ目がサンプルサイズについてです。サンプルサイズとは、簡単に言うとどれだけの方で検証を行なったかです。

今回の臨床研究では、20人で33部位の比較のみのため、より多くの研究結果からではないと、正確な統計的比較が難しいからです。

2つ目に、従来の脂肪吸引とベイザー脂肪吸引では、脂肪吸引量にそもそも差があって単純比較できない点です。
それぞれの平均脂肪吸引量は、従来の脂肪吸引が757ccに対し、VASERが702ccです。平均で約50ccの吸引量の差があり、統計学的にも7.9%従来の脂肪吸引の方が吸引量が多い(p= 0.04)*ことになります。(原著論文では計算ミスがあり、過小評価されています)
*統計の有意差では、p=0.05以下で有意差ありとされています。

吸引量が違う時点で皮膚の引き締め効果も単純比較ができなくなります。また、吸引量が多いということはそれだけ組織の傷害量も多いため、自然と出血量が多くなってしまいます。正確な比較を行なうためにも、吸引量を同じにしたうえで比較するべきではなかと考えられます。

最後に、論文の記載者がベイザーの業者と利益相反があるという点です。この論文自体がベイザーの業者がスポンサーした論文で、論文執筆者もベイザーの宣伝を当初から行なっていた医師でした。そのためコマーシャルバイアスがあり、公平性がやや劣ることが指摘されています。

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