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  4. 鼻のプロテーゼが飛び出してしまった 。︎鼻先に赤みが出た。

「他院で鼻にL型のプロテーゼを入れたのですが、先端が薄くなっている。飛び出しそう」などというご相談があります。

「プロテーゼが鼻から飛び出す⁉︎」想像しただけでも恐ろしい事態ですよね。

これは医師の知識不足により起きているケースもあれば、他の理由も考えられます。その原因について詳しく解説していきます。

患者様からのお悩み

患者さま

恐れていたことが起こりました。

他院で鼻を高くしたくてL型のプロテーゼを入れました。

最初は皮膚の塊かと思っていましたが、L型のプロテーゼの先が鼻先の皮膚を破ってしまったのです。

まさか飛び出すとは思いませんでした。これは明らかに失敗ですよね?

患者さま

1年半前にL型のプロテーゼで鼻を高くする手術をしました。

数日前から痛みが辛くて、鼻先に赤みも出ています。

ネットで色々調べてみると、L型のプロテーゼがずれたり、飛び出したり、トラブルが多いことを知りました。

また、一部の記事ではプロテーゼは石灰化するという恐ろしい話を聞きました。

私はどうしたらいいのでしょうか。プロテーゼを入れ替えるべきでしょうか。

水の森美容クリニック 総院長 竹江渉

鼻のプロテーゼは「鼻を高くしたい」「鼻筋を通したい」という患者様のお悩みに適した手術のひとつです。

鼻に挿入するプロテーゼの形にはL型とI型があります。

どちらが絶対に良いというものではございませんが、L型プロテーゼを挿入する場合には、鼻先に負荷がかからないように先端を薄くして挿入する必要がございます。

実際に先端を薄くして挿入するため、L型もI型も、効果に対して変わりはないという事になりますが、絶対に行ってはいけないのがL型のプロテーゼで鼻先を高くしてしまう事です。

このような場合には、鼻先に負荷がかかり、将来的に飛び出してくる可能性があります。

以下に患者様のご相談のお答え交えて詳しく解説していきたいと思います。

鼻を高くする際に絶対にやってはいけないこと

「鼻を高くしたい」「鼻筋を通したい」というような患者様の悩みは多く、美容医療では鼻骨部分から鼻尖部分にかけてプロテーゼを載せるように入れることで、低い鼻を高くすることができます。

鼻の解剖図

鼻にプロテーゼを入れることでお顔の印象をスッキリ見せることもできるため、鼻の手術の中でも定評のある手術ですが、プロテーゼの手術をする際にやってはいけないことがあります。

以下に説明していきます。

①「L型」のプロテーゼで鼻先も高くする

まず鼻を高くする際に使用するプロテーゼには、「L型」と「I型」があります。

I型プロテーゼの写真
水の森美容クリニックで使用しているプロテーゼ写真

[当院で使用しているプロテーゼ]

当院では、挿入するプロテーゼを、患者様の鼻の形に合わせ削っていきます。

左の写真にあるように何パターンかのプロテーゼのうち、患者様の希望の高さに合いそうなもの選び、患者様の鼻の形や希望の高さに合わせて、フィットするように削っていきます(30分位の作業時間)。

これはとても大事な作業となります。

プロテーゼをほとんど削らないで入れるクリニックも多いようですが、しっかり希望の高さや、鼻の形にフィットさせるかで、仕上がりに大きな影響を与えます。

基本的に、当院で使用するプロテーゼは、I型に加工して使用していきます。

現在、日本の美容外科の多くは、「L型」ではなく「I型」を使用しています。

L型が絶対に駄目という事ではございませんが、気をつけなくてならないのは、「L型」のプロテーゼで鼻先を高くしている場合です。

L型プロテーゼで鼻先を高くしているイラスト

プロテーゼで鼻先も高くしようとすると、鼻先にテンション(負荷・鼻先が引っ張られる)がかかった状態となります。

このような状態で長い時間過ごしていると、徐々に鼻先の皮膚が薄くなり、いずれ飛び出してきます。

この状態になるまで意外と患者様自身は気づかないことが多く、皮膚が薄くなり飛び出すまでの期間5〜10年あるいは、10年以上普通に過ぎていたということが多々あります。

<「L型」のプロテーゼで鼻先を高くするデメリット>

  • 長時間経過すると、鼻先の皮膚に負担がかかり、皮膚が薄くなる。
  • 5〜10年以上経過した頃に鼻先の皮膚を突き破ってプロテーゼが飛び出してしまう。

本来、プロテーゼの手術は入れ替えの必要なく、一度手術をすれば一生物と考えて良いと思います。

しかし、上記のような鼻先を突き破るようなL型プロテーゼを挿入しているクリニックでは、トラブルが起きたとしても、クリニック側の責任にならないように「プロテーゼは入れ替えが必要である」と説明していることがあるようです。

以下の記事も参考にされると良いでしょう。

【美容整形で失敗しないための秘訣】
「鼻のプロテーゼは入れ替えが必要なのでしょうか?」

②本来、プロテーゼで鼻先を高くしてはいけない

鼻を高くするためにプロテーゼを入れることには問題ありませんが、鼻先を高くするのに「L型」プロテーゼを使ってはいけません。

しかし、患者様のニーズには鼻先を高くしたいというニーズもあるのです。では、鼻先も高くするにはどうしたら良いのでしょうか。

正しくは、「I型」のプロテーゼで鼻根〜鼻背を高くし、「鼻尖縮小(だんご鼻修正)」や「耳介軟骨移植」といった手術で鼻先を高くしなければなりません。

※以下、(略)「鼻尖縮小(だんご鼻修正)」を「鼻尖縮小」

基本的には耳介軟骨移植のみでは十分な高さが得られないことが多く、鼻尖縮小と耳介軟骨の併用が望ましいでしょう。

鼻尖縮小と耳介軟骨移植を行った場合の鼻のイラスト

詳しい手術に関しましては、下記サイトをご参考ください。

➡︎鼻尖縮小
➡︎耳介軟骨移植

本来このような手術で鼻先を高くする必要があるのですが、なぜ、多くのクリニックは危険を冒してまでL型のプロテーゼを使って鼻先を細く高くするのでしょうか?

水の森美容クリニック 総院長 竹江渉

まず「鼻尖縮小」+「耳介軟骨移植」という手術は難しく、正しく行える医師が少ないのが理由として考えられます。

鼻尖縮小を行っても効果が出ないことを医師本人が分かっているため、L型のプロテーゼを使って安易にできる方法で鼻先を高くしようとしてしまうのです。

しかし、L型のプロテーゼを入れた場合、長時間経過とともに鼻先に赤みが出たり、プロテーゼが飛び出してしまうというリスクが生まれ、トラブルを引き起こしてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

L型のプロテーゼを使用するクリニックでは、トラブルになることをあらかじめ予測しているため、事前に「プロテーゼは入れ替えが必要」と伝え保険をかけているといえます。

「L型プロテーゼ」+「鼻尖縮小」は意味がない

前述でお伝えしたように、「鼻を高くしたい」「鼻筋を通したい」という患者様のお悩みに対してプロテーゼの手術は効果的です。

しかし、患者様のニーズには鼻先を細くしたり、鼻先を高くしたいというニーズも多いのです。

このようなニーズに対しては、鼻尖縮小や耳介軟骨移植の手術が有効となりますが、正しく行わなければほとんどど効果の出ない手術となり、鼻のプロテーゼに比べ難易度の高い手術になります。

その為、鼻尖縮小の手術を正しく行っている医師は少ないといえます。

正しく行えない医師が行う手術にあるケースとして、L型プロテーゼ+鼻尖縮小手術の手術があります。

I型プロテーゼとL型プロテーゼの比較

これは、行う医師が、鼻尖縮小の術後の効果を出すことができないからです。

こういった理由からL型のプロテーゼを入れて鼻先の効果をごまかしている事があります。

本来、この手術は、鼻先の軟骨を形成して、余分な組織を除去し、鼻先を細く、高くする手術なので、その上にプロテーゼがあれば鼻先の手術をする意味がないことになります。

このように、鼻尖縮小がしっかり行えないために、L型プロテーゼと鼻尖縮小が併用されているケースも少なくありません。

つまり、鼻先を細く、高くする治療は、鼻尖縮小と耳介軟骨移植という手術を行い、鼻筋を通すには「I型」のプロテーゼを鼻の付け根から鼻先付近までに入れるという手術をする必要があります。

鼻尖縮小手術に加え、L型プロテーゼの挿入をすすめられる場合に関しては、注意が必要といえます。

また、使用するプロテーゼについても、しっかり確認すると良いでしょう。

水の森美容クリニック 総院長 竹江渉

鼻尖縮小を行うにも関わらず、L型プロテーゼを挿入することはありません。

手術をしても費用の無駄になってしまいますので、もし「L型プロテーゼ+鼻尖縮小」などの組み合わせを提案されたら疑いましょう。

「L型」プロテーゼを入れて異変を感じたら?

ではもし、他院でL型のプロテーゼを入れてしまったらどうしたらいいのでしょうか。

今回のご相談のように、「プロテーゼが飛び出してしまう」という場合は直ちにプロテーゼを抜去する必要があります。

「鼻先が薄くなり赤みが出てしまった」という場合も使用しているのが「L型」のプロテーゼである以上は、時間経過とともに皮膚が薄くなり、いずれ飛びしてしまう恐れがあります。

皮膚を傷つける前にプロテーゼを抜いて、「I型」のプロテーゼに入れ替え、正しい術式が行えるクリニックで治療するのが良いでしょう。

しかし、「L型のプロテーゼで手術をし、形が気にっている」、「特に異常を感じないからこのままでいい」という方もいらっしゃると思います。

異変がないのに再手術を行わなければいけないのは抵抗に思う方もいるでしょう。

そのような場合はしばらく様子を見るのも選択肢のひとつですが、5〜10年以上経過する頃に症状が見られる可能性が高いので、緊急性はございませんが、症状が出てきたときには早めに入れ替えをするのが良いでしょう。

鼻のプロテーゼは石灰化しますか?

ここまで、「鼻を高くする際に絶対にやってはいけないこと」の詳細について解説してきました。

最後に、もう一つ「鼻のプロテーゼは長時間入れていると石灰化するのか」という患者様のご相談について回答していきます。

確かに10年以上経過した方のプロテーゼを抜去すると石灰化しているケースもあります。

石灰化と聞くと身体に悪影響があるのではないか、と心配されるかと思いますが、表面上ではわかりません。

また、石灰化していたとしても身体に悪いことが起こるわけでもありません。

つまりこのような情報は、何らかの理由でプロテーゼに批判的な医師が「石灰化」という言葉を使って危険なイメージを強調しているのではないかと思います。

プロテーゼの「石灰化」は見た目の影響はありませんし、身体にとっての悪影響もありません。患者様が考えているような心配もありません。

このようなインターネットの情報はすべて鵜呑みにされなくてもよろしいかと思います。

まとめ

それでは、今回頂いたお悩みに関して、簡潔にまとめていきたいと思います。

  • 「L型」のプロテーゼで鼻先を高くしてはいけません
  • 「L型」のプロテーゼは鼻先にテンションがかかるため、徐々に鼻先の皮膚が薄くなり、5〜10年経過すると皮膚から飛び出す可能性があります
  • 鼻先を高くするには「鼻尖縮小(だんご鼻修正)」と「耳介軟骨移植」という手術を行う必要があります
  • もし「L型」プロテーゼを入れてしまったら、「I型」プロテーゼに入れ替え、正しい手術を行う必要があります
  • 「L型のプロテーゼ」+「鼻尖縮小(だんご鼻修正)」の組み合わせは意味がありません
  • 鼻のプロテーゼは長時間入れると「石灰化」することはありますが、見た目や身体への悪影響はありません

鼻を高くする際にプロテーゼを検討している方は、カウンセリングを受けられる前に以上のことを知った上で、クリニックへ行きましょう。

何か引っかかることや不明点を感じる場合は、即決せずに、納得した上で治療をされることをお勧めします。

※お鼻の施術にまつわる失敗例については、「美容整形で失敗しないための秘訣」よりご覧ください。

の記事で取り上げている鼻の施術について、
詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

鼻プロテーゼの施術(水の森美容クリニック 公式サイトへ)
鼻の構造(水の森美容クリニック 公式サイトへ)

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2017.10.01

2022.09.30

お鼻

監修医情報

医師

水の森美容クリニック 総院長 竹江 渉

経歴

平成10年 東京医科大学医学部卒業

平成18年2月 水の森美容クリニック開院

所属学会

日本美容外科学会 正会員

日本美容外科医師会 正会員

麻酔科標榜医

BOTOX VISTA®認定医

ジュビダームビスタ®認定医

竹江渉医師写真

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