眉毛のアートメイクでの失敗例や後悔しないためのポイント
2025.11.20
美容皮膚科

医療アートメイクは、専用の針を用いて皮膚の浅い部分に色素を入れ、眉やアイラインなどを描いていく施術です。色素の永久的な定着が無いため、その時の流行や加齢によるお顔の変化に対応した自然な仕上がりに修正することも可能です。
昨今、マスク生活が続き、より目元・眉毛の印象が重要視されていることもあり、アートメイクの需要も高まってきています。
そこで、せっかくのアートメイクで失敗や後悔をしないためにも、今回の記事では施術内容やリスクなどをご理解いただけるよう詳しく解説していきます。
目次
医療アートメイクに関する患者様からのお悩み相談
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今回は、アートメイクの施術で左右差が出てしまったというお悩みですね。
眉はお顔の印象の8割を決めるとも言われており、元々女性からの人気が高かったアートメイクですが、最近では男性からの人気も高まっています。
身近になってきたアートメイクですが、今回の患者様のように左右差の他にも失敗や予め注意しなければならないリスクがあります。
この記事では、医療アートメイクについて解説すると共に、せっかくの施術で失敗や後悔をしないためのポイントについてご紹介いたします。
医療アートメイクとは?

まず初めに「アートメイク」とは何か?についてお話したいと思います。
アートメイクとは、専用のニードル(針)を使用して直接皮膚の表皮深層から真皮上層に色素を入れる施術になります。
対応部位は、眉やアイラインなどが主に知られています。
その他にも、リップ・ほくろ・髪の生え際・薄毛部分・傷跡カモフラージュ・乳輪乳頭(乳房再検後)など、さまざまな部分に対応することができ、今後さらに注目される医療施術です。
入れ墨やタトゥーは真皮深層(約2mm)に色素を定着させますが、医療アートメイクは、皮膚の浅い部分に定着させていきます。永久的な色素の定着は無く、皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)を繰り返すことで徐々に薄くなったり、退色して色味が変化したりしていきます。
そのため、1~2年おきのメンテナンスが必要となりますが、その時の流行やお顔の変化に合わせた形や色に修正ができるのもアートメイクのメリットと言えます。
アートメイクはもともと資格を保有しなくても施術が行われていましたが、施術後の皮膚の瘢痕や感染などのトラブル、無資格者による麻酔薬や針の使用などが問題となり、現在日本では医師・看護師にしか施術をすることが出来ない医療施術として定められてします。その為クリニックでの施術しか許されていません。
アートメイクの効果・メリット
アートメイクは、皮膚に傷をつけ色素を定着させる技術です。そのため、ノーメイクの時にも常に自然な眉やアイラインをキープでき、水や汗でアートメイクが消えたり崩れたりすることはありません。
お化粧をした時に完璧な状態になる眉やアイラインをアートメイクで作ってしまうと、お化粧をしていない時に濃すぎる、長すぎるなど不自然な仕上がりになってしまうので「ノーメイクの時にちょうどいい」を目指して、アートメイクを入れることが大切です。
その為メイクをした際には濃さや長さを少し調整する必要がありますが、アートメイクがベースとしてある為メイクが簡単になり、毎日のメイク時間の短縮に繋がります。
医療アートメイクの失敗例とそれぞれの対処法について

ここからは、医療アートメイクのよくある失敗例とその対処法についてご紹介いたします。
左右差のある仕上がりになってしまった
元々の眉の位置や目の大きさ、お顔の表情を作る筋肉の使い方、加齢によるお顔の変化など、様々な要因によってお顔に左右差が元々ある方がほとんどなので、アートメイクでも100%左右差の無い仕上がりは困難です。
もちろん極力左右差が生じないようにデザインを行いますが、どうしても左右差が出来てしまうときは、左右差が生じる原因やリスクをご説明し患者様にご納得を頂いた上で施術を行ってまいります。
眉を持ち上げる額の筋肉の動きが強すぎる場合や、目を開く為に眉を持ち上げている方にはアートメイク施術の前にボトックス注入や眼瞼下垂のお手術をご提案する場合もございます。
また1回目の施術後に左右差が気になった時は2回目の施術で調整し修正することが出来ます。1回目の施術後は皮膚のバリア機能が働き色素を体外に排出しようとするため、濃淡のムラが目立ったり、左右差が生じたりしても通常の経過と思って頂いて大丈夫です。
アートメイクは1度では完成せず2~3回の施術を必要とします。左右差が出てしまったからと1回で施術を辞めてしまわずに、2回目の施術の際に施術者に気になることを遠慮なくお伝えください。2回目以降の施術で気になる箇所をしっかり修正し、左右差や色むらを解消することが可能です。
2回終了し定着後に修正したい場合は一度行ったアートメイクをレーザーや除去剤を用いて消し、新たにアートメイクを入れるという方法があります。
しかし、どちらも回数や時間を必要とし費用もかかります。簡単にアートメイクを消すことはできないという事をご理解いただき、アートメイクを行う際には施術者任せにせず、患者様もしっかりデザインをチェックし、ご要望を伝えて頂く事がとても大切になります。またしっかりと意思疎通ができ、信頼できる施術者を選択することも必要です。
時間が経ちアートメイクの色が変わってしまった・薄くなってしまった
アートメイクは基本的に定着後から徐々に色が薄くなり、それと同時進行でゆっくりと色味も変化していきます。
アートメイクで使用する色素は、数多くの色を混ぜ合わせてできています。色素ごとに色の配分が異なり、また皮膚内にとどまりやすい色や抜けやすい色もある為、ターンオーバーを繰り返すことで古い角質と共に色素がはがれ落ち、徐々にアートメイクはオレンジや紫・緑・赤い色味になどに変化していきます。
このように退色や変色したことで不便を感じた場合には、抜けてしまった色素を追加しアートメイクの色味や濃さを修正していく必要があります。
施術後、強い痛みや腫れが続く
アートメイク施術当日は、若干の痛みや傷にしみるような刺激を感じる場合があります。また、アイラインやリップは皮膚が薄く腫れやすいので、施術後2~3日は腫れが続くケースもあります。
当日は気持ちが良い程度に施術部分を冷やしていただき、就寝時には枕やクッションで調整し、いつもより高い位置を保つようにしましょう。
万が一、数日経っても痛みが引かない、どんどん痛みや腫れがひどくなる場合には感染症の可能性があるため、必ずクリニックへ連絡してください。
術後にご自身で行うアフターケアが感染を防ぐためにとても重要です。
仕上がりの色が濃すぎる・薄すぎる
アートメイクは仕上がりの色が薄い場合には濃くすることはできます。しかし一度色を入れてしまうと、薄くすることは簡単ではありません。
眉毛のアートメイクは「ノーメイクの時にちょうどいい」状態が理想です。少し薄い部分は、ご自分でメイクを調整して頂きメイクを完成して頂く必要があります。アートメイクはあくまでベースメイクととらえると良いと思います。
医療アートメイクとMRIの関係について
まず、アートメイクの色素には鉄成分が入っているため、MRIを受ける際には磁気に反応して火傷を負ってしまうリスクがあります。
ただ、先述の通りアートメイクは皮膚の浅い部分にのみ色素を入れるので、深い火傷に至る可能性は低いでしょう。
アートメイクで使う色素は、MRIに対する試験を行い、火傷や温度上昇に対する安全性が認められてるものか確認しましょう。しかし、MRIの機器や仕様によっては火傷を起こすリスクもございますのでご注意ください。
医療アートメイクのダウンタイム
医療アートメイクの施術前から、術後にかけての様子です。

【施術・術後について】
- 施術時間:1時間~2時間半
- 洗顔:施術部位以外当日から可能
- シャワー:当日より可能(入浴は翌日から)
【副作用・リスク】
- 赤みや痛み、かゆみ、腫れ
- 一時的に濃く見える可能性
- 傷口の感染リスク
【その他の注意事項】
- 術後1週間、施術部位のメイクはお控えください(眉、リップ、黒子はワセリンを施術部位に塗る)
- アイライン施術の際には、アイラッシュはお控えください
- 術後1週間、汗をかくような代謝の上がる行為(運動、サウナ、長湯)、不衛生な環境(海水浴、大衆浴場)などはお控えください
- 施術後1週間は大事なご予定は入れないようにお願いいたします。
医療アートメイクの修正・やり直しについて
1度入れてしまったアートメイクは、簡単に修正・やり直しはできません。
ですが、カウンセリング・デザインもチェックも行なったうえで施術を受けた場合でも、修正をしたくなるケースもあります。
その際には、レーザー除去や除去剤を用いてアートメイクを除去してから追加や修正を行うか、経年劣化(薄くなるのを待ってから)してから新たに追加や修正をする方法があります。
先述の通り、レーザー除去や除去剤で修正となれば、時間や費用だけでなく皮膚へのダメージもあります。レーザー除去や除去剤は、回数が掛かること、肌に対するリスクがあることをご理解ください。
医療アートメイクに適さない方・おすすめできない方
- 奇抜な眉をご要望の方
- 深く濃く入れたい方
- 持病をお持ちの方(糖尿病、免疫不全、心臓病、感染症等)
- 肌状態が良くない方(傷がある、アトピーがある、ターンオーバーを促す肌治療をしている等)
- アレルギー体質の方
- その他の理由で施術が困難と医師が判断した方
アートメイクで失敗しないためのポイント
カウンセリングが丁寧なクリニックを選ぶ
簡単には消えないアートメイクで、心から満足できる仕上がりにするためには、患者様と施術者で信頼関係を築くことが最も重要です。
カウンセリング後当日施術を行うクリニックよりも、カウンセリングのみ受けられるクリニックだと安心です。
様々な媒体で口コミもチェックしておくとよいでしょう。
資格を持った施術者を選ぶ
Biotouch Japan・日本メディカルタトゥー協会でアートメイクのディプロマ(認定証)を取得しているスタッフでを選びましょう。
プロ目線のアドバイス、最適な眉・アイライン・リップを提案できる、技術・知識・経験を持ったスタッフであれば初めてのアートメイクも安心して受けることができます。
アフターフォローを確認
施術をして終わりではなく、術後も自眉の整え方やメイク方法など、日々の生活の中で気になる点についてもしっかり説明してくれるスタッフを選びましょう。
眉毛のアートメイクで後悔しないために
眉毛はお顔の印象を大きく左右する重要なパーツです。アートメイクは簡単には消えませんので、信頼できる施術者を選ぶことが重要です。
2023.01.16
2025.11.20
美容皮膚科
監修医情報
医師
水の森美容クリニック 総院長 竹江 渉
経歴
平成10年 東京医科大学医学部卒業
平成18年2月 水の森美容クリニック開院
所属学会
麻酔科標榜医
BOTOX VISTA®認定医
ジュビダームビスタ®認定医

医師
水の森美容クリニック 美容皮膚科専門医師
金子 繭子
経歴
平成20年 昭和大学医学部 卒業
平成20年 昭和大学横浜市北部病院
平成22年 日本医科大学武蔵小杉病院 形成外科
平成24年 日本医科大学付属病院 形成外科
平成24年 筑西市民病院 形成外科・皮膚科
平成25年 日本医科大学付属病院 形成外科
平成27年 日本医科大学武蔵小杉病院 形成外科
令和5年 水の森美容クリニック 美容皮膚科
所属学会
日本形成外科学会専門医
乳房再建エキスパンダーインプラント責任医師
日本形成外科学会 会員
日本美容外科学会(JSAPS)会員
日本創傷外科学会 会員
日本乳房オンコプラスティック サージャリー学会 会員




毎日のメイクが楽になったらいいなと思い、先日アートメイクを受けてきました。
術後すぐは、しっかり眉を作ってもらえて満足していたのですが、家に帰り仕上がりをよく見てみると左右差が出ていました。
術前に確認してもらっていたはずだったのですが、左右差が出てしまった以上やはり失敗だったのでしょうか?
また、ずっとこのままにしておきたくないので修正をしたいのですが、眉へのダメージやリスクはあるのでしょうか?